遊びの記録⑥ 耳のきこえない

ぼくは、生まれつきの病気で、左耳の聴覚がほとんど無い。そのことがぼくに与えた影響は計り知れなくて、今年1月の展示の「細君の示唆」にもこのことがいくらか反映されている。 - この展示に出した絵は、(いつかちゃんと言葉にできたらとは思うが、)ぜんぶ当てずっぽうというかノリで描いているから、タイトルは後からつける。その中に、「目のみえない」という絵がある。この絵は見ていると、目のみえない人みたいなイメージがぼんやり浮かんでくる絵だ。それと「閉じ込めておけるもの」という絵(展示の時はまだタイトル未定だった)は、耳をふさいでいる人の絵で、この絵の制作中に、電車の中で耳をふさいで、「あーーー」とか言いながら歩き回る人が頭に浮かんだ。 この展示の前の数ヶ月はなぜだかそういった、何かが欠けていたり足りなかったりする人がよく絵に出てきた。 -- 左耳の聴こえない僕は、聴こえると聴こえないの間にいるような感覚がいつもどこかである。たとえば音楽を聴く時や、電車で左となりに友達が座ったときには聴こえない自分が顕在化してくるし、反対に、聴こえない人を見ると、自分は聴こえる人だという意識が強くなる。 ただ、ぼくのこうした病気(他にも色々病気持ちだ)は、両親のたいへんな尽力によって、ほとんど気にすることなく「普通に」生きいくこと"も”できた。そういう時間も、人生のなかに何割かはあった。そのため、ぼくは自分の病気の病名を知った(自覚した)のは大学生になってからだった。両親は日頃から「病気のぼくを」必死に心配してくれたし、また隠してくれもした。 病名こそ知ったのはだいぶ遅かったが、当然小学校は早退する、プールに

遊びの記録⑤ ぐるんぱ

去年ぼくは絵本にハマった。ぼくのいた東京藝術大学の隣には国際子ども図書館があって、学校の授業が終わるとそこに行って絵本を読むのが楽しかった。久々に絵本を見て、そこに描かれた絵に圧倒された。 子どもの頃もよく絵本を読んでいた記憶はあるけど、ほとんどが海外のもの(『おさるのジョージ』『マドレーヌ』 など)だった気がして、だから日本の絵本を漁ってみることにした。 1. ささめやゆきさんの『おとうさんは、いま』の、娘のために帰り道を走るお父さんのフォルムは、今までどんな絵画でも見たことのないものだった。 2. 片山健さんの『おばあさんの青い空』は、次々と異世界のイメージが描かれていて、しかもその全てに狂ったほどに細部が描き込まれている。片山さんの頭の中はいったいどうなっているんだろう?と思う。ページをめくるたびに驚きが生まれるのは絵本の醍醐味だろう。 3. 荒井良二さんの『森の絵本』の複雑な緑の色分けは、日本画のような質感で面白い。片山さんの絵本もそうだけど、本当に絵本の中に入る、迷い込むような感覚になる。 (興味ある人、貸すから言ってね) こうした日本の絵本作家たちの作品を立て続けにみて、本当に影響された。昨日からこのホームページにぼくの最近作の絵をアップしているのだけど、やっぱりこれらが出来る過程で一番影響を受けたのは絵本だった。 カフェ・ハンモックの展示でも、こうした影響を受けた絵本もたくさん置いていて、その中で唯一子どもの頃から大好きな絵本を紹介しようと思う(あんまり絵本に関係ない感想になってしまったが・・・)。 ーーーー 『ぐるんぱのようちえん』 西内ミナミ さく/ 堀内誠一

遊びの記録④ プレイリスト(制服)

人が作ったプレイリストを聴くと、その人が街を歩く情景や、家で制作をしている姿が浮かんだりする。大橋くんとは、今回の展示をきっかけに話たりするようになったからまだ日の浅い関係なのだけれど、彼の作ったプレイリストを聴いて「あれ、ぼくらはずっと前から友達だったんじゃないか?」という感じがした。結構した。 プレイリストにはsupercar、くるり、ASIAN KUNG-FU GENERATIONなど、僕らの世代が通過儀礼のようにして聴いてきた邦楽ロックのスターたちが入っていたり、2000年以降の邦画(アニメも含む)のサウンドトラックから選曲されていたりして、僕も大橋くんも同じ時間を生きてきたという当然の事実を実感する。 個人的なハイライトとしてはTHE RC SUCCSESSIONの「トランジスタ・ラジオ」。ぼくがこの曲を聴き始めた高校生のときはまさしく「授業をサボって」屋上で寝転んでたりしていて(そういうのがかっこいいと思っていたんだろう…)、それゆえに大好きな曲だった。 一方の大橋くんは機械をいじって遊ぶ(たとえばラジオの回線を別の回線につなげたりする)ことがアート作品をつくる間接的な動機だったりして、僕と大橋くんは同じ時代に、別々の解釈でこの曲に共感していたのかななんて思ったりした(大橋くんは親の影響で僕よりも幼い頃からこの曲を聴いていたそうだが)。 松本大洋ー宮藤官九郎ー湯浅政明と常にその時代最高の形にアップデートされながら継承されてきた「ピンポン」からの選曲も最高だ。ピンポンはまさしく2人の男の話で、学生服とユニホーム(体操服みたいでだっさいやつ)の話だ。そう、大橋くんの選曲

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