Photo by Seiha Kurosawa

RUN(1924-1991)

mixed media on carpet,tracks,photos and texts, 2014

 

  

   2013 年9月、私は国立競技場の特集を組んだテレビ番組「名勝負!国立競技場物語」を観ていた。そこには1964年の東京オリンピックや1991年の東京開催の世界陸上を支えた祖父や父の姿が映されていた。父は祖父が創業したスポーツレクリエーション施設の施工会社に勤めているが、私はそれまで父の仕事については漠然としか知らなかったので、こうした事実はテレビを通してこのときはじめて知った。この体験をきっかけに制作した本作は1. 写真やテキスト(父の若かりし頃の写真や、1. 父が仕事の際に撮影した写真など) 2. 陸上競技用の走路トラックの歴代のサンプル 3. 私が制作した絵画作品の3つの要素扱うことで家族史と歴史の交錯する場をつくることを目指した。

 

   この作品は、絵画作品の支持体には、自分の家で使用しているものと同様のカーペットを用いた。カーペットには、国家の記憶と自分記憶にまつわるモチーフが描かれている。国立競技場の歴史を学んでいく中で感じた戦争の熱狂、スポーツの熱狂を想像しつつ、そこに個人的な記憶の回想を挟み込む。頭の中をかけめぐる思いを書き留めながらも、連想ゲームのように形の類似や言葉遊びででてきたモチーフを付け加える。そこに祖父と父が人生をかけて開発した努力の賜物であるトラックを配置することで、国家ー家族ー自分の歴史を含んだ空間をつくりだした。スポーツ観戦(スタジアム)の視点、戦闘機の視点などをイメージして、上を歩くという鑑賞方法を採用した。なお、このカーペット絵画のモチーフとなったものは以下のようなものだ。

 

・国家的なイベント:学徒出陣の壮行会、1964年東京オリンピック、1991年世界陸上東京大会など。

・個人的な思い出:銀杏並木(国立競技場のある付近には母方の祖父母が住んでおり、国立競技場を含めた外苑前一帯は私の子どもの 頃の記憶を思い出させる風景でもある。)、アメリカ人である叔父との船釣りで船酔いした記憶...。

 

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