麦茶に寄せた短い手紙
もうすぐそこに秋が見えてきて、ぼくたちはそれぞれの押入れから上着を取り出し、なんならもう数日したらあったかいコーヒーを水筒にいれて持ち歩いたりしだすだろう。 麦茶よ君とはしばしのお別れだ。 でも今年はたくさん君のことを思い出したし、たくさん触れ合ったんだ。 まず、「麦茶のための即興展示(仮)」というグループ展の企画があった。 僕のいまのアトリエで友達2人とそれぞれの作品を展示して、近しい人を呼んで観てもらうんだけど、そこで麦茶をだそうってなった。夏だから。 そういう話をしていたら一緒に企画した友達から「麦茶のための即興展示」という言葉がでてきた。 「麦茶のための」ときたか。いいじゃないか!この展示で集まったぼくらは、麦茶のような作品を望んでいたんだ。 それは、ぼくらの作品も当たり前でありたいということだ。美術館やギャラリーでみる絵画もいいけど、もっと身近な絵をつくりたい。 夏のぼくたちの生活のなかに当たり前に入り込んでいる君のようにね。 それと、今まさに行われている展覧会「引込線2017」でもぼくは君のことを考えているよ。この展覧会の中でぼくが担当しているイベント「おしゃべりスポット実行委員会」では、来場者に冷たい麦茶を振舞っている。 透明なカップとフタとストローにコースターを添えたカフェ風な装いの麦茶も持って、会場内で「おしゃべりスポット」を見つけてもらう。 「おしゃべりスポット」とは、「誰かとおしゃべりしたり、何か(作品や展示会場)と心を通わせたり(対話したり)して、長く滞在した場所」ということになっていて、お客さんが会場内で「おしゃべりスポット」だと思う場所に、コースターを配置(マーキング)してもらうというわけだ。 とにかく、この夏のぼくは、「人と触れ合い」「風を感じ(季節を味わい)」「場所に敏感になる」ときに君の力を借りている。 今年はだいぶお世話になった。ありがとう。 これからもよろしく。 p.s. あ、そうだ、ホット麦茶もミルクを入れると美味しいんだって!まだお別れせずにすむかもしれない!